正しいキャッチ&リリース

情報提供・お問合せ

正しいキャッチ&リリース

 皆さんはキャッチ&リリースと言う言葉を聞いた事ありますか?今や管理釣り場において、キャッチ&リリースは半ば常識となりつつあります。ここでは「なぜキャッチ&リリースなのか」を大まじめに論じてみたいと思います。みなさんどうぞお付き合いください。

何故、キャッチ&リリースなのか?

 キャッチ&リリースとは、文字通り「釣り上げた後、水に戻す」と言うことです。 管理釣り場でのトラウトフィッシングにおいて何故キャッチ&リリースが望ましいのでしょうか?
それはフィールド(釣り場)の保全のためです。
 釣りを楽しむためには、相手となる魚がいなければ成り立ちません。現状のアングラー数(釣り人口)では、魚の数に対し釣り人が多すぎるため、魚を放流しない限り釣りを楽しむことは不可能です。
 ここでまず問題となるのが、魚の価格です。われわれが通常支払う河川や湖の"入漁料"や、管理釣り場の"入場料"では、漁業組合や釣り場の運営費等を考慮すると、釣り人一人一日あたり「河川等で300g~1kg、管理釣り場で1kg~1.5kg」(尾数にすると小型魚で河川等で2~5尾、管理釣り場で5~10尾、中型魚(30~35cm)になるとその4分の1)程度しか放流することができないということです。
 漁協や管理釣り場はボランティアではありません。したがって釣りを楽しむためには入漁料等の大幅上げをするか、 リリースしてもう一度(いや10回)針にかかってもらうしかないのです。
 もちろん、キャッチし持ち帰って食べる事を否定するものではありません。 釣りの楽しみ方は人それぞれですが、もしリリースをするのであれば、できるだけ魚を痛めないようにしましょうという事なのです。
 釣れた魚は針に刺さって痛い思いをしています。せめて楽しませてもらったら、優しくリリースしてあげましょう。

「至福の時を与えてくれた、魚たちへの感謝を忘れずに!」

正しいリリース方法とは?

 魚はエラを通して水中の酸素を取り入れて呼吸しています。つまり、水中でしか呼吸できません。あなたが、100mをダッシュ(魚がファイトしている状態に相当)した直後にいきなり口と鼻をふさがれたら、どうなるでしょう?平気なのは、せいぜい10秒くらいでないでしょうか?魚も同じです。針をはずす為や写真を取るために20秒も(場合によっては1分も)水から出された魚はダメージが大きく、間違いなく数日後にはあの世行きです。

魚にできるだけ触れないこと

 これには二つの理由があります。 まず鱒は雑菌や寄生虫から自分の体を保護するために皮膚に薄い蛋白質の膜(ぬめり)を作ります。魚に乾いた手やタオル(濡れててもだめ)等の布で触ったりするとその膜が剥がれてしまい抵抗力が弱くなって死んでしまいます。
 もう一つは人間との体温の違いからくる火傷です。魚は体温が人間よりはるかに低いため乾いた温かい手で触ってしまうと火傷をしてしまいます。
 魚の体温は水温と同じです。手の温度とは10~20℃程の差があります。 あなたは体温より10~20℃程も熱い風呂に入れますか?せいぜい6~7℃高い[42~43℃]がいいところでしょう。撮影などでやむをえず魚に触る前には必ず水に手をつけて冷やしましょう。
 え!?水が冷たいですって!?それくらいは我慢してください。体表にダメージを受けた固体は弱っていく過程で雑菌等の媒体となり池全体を汚染していくのです。
 フォーセップ・ペンチなどを使うと魚に触れずにリリースする事もできます。最近リリース用の便利なツールも各社から発売されてきましたのでショップ等で手に取ってみてください。

バーブレスフックを使う

 ・シングルバーブレスフックを使用することにより、短時間でリリース出来ます。
 ・返しつきの針やトリプルフックに比べ、魚のダメージも減ります。中には、「フッキングが悪くなったり、バラシが増えるのでは?」と、考えておられる方も居られるようですが、まったくの逆でフッキングがよくなります。バラシの原因は大きく分けて、「フックの未貫通」と「身切れ」です。 まず、貫通性が大幅によくなるのでバラシが減ります。小さな力でフッキングするので、身切れによるバラシが減ります。適正な(魚の口に入る)サイズのルアー、フライを使用することで、さらにフッキングがよくなり、バラシも減るのです。もちろん、これにはラインに適正なテンションがかかっている事が前提です。

ラバーネットを使用される際のご注意

 最近、魚へのダメージが少ないといわれるラバー製のネットが普及してきました。とてもいい事だと思います。しかしラバーネットをお持ちのあなた!ランディングする前はネットをどこに置いていますか? 通常は地面に置いている方がほとんどだと思います。でも、本当にそこでいいのでしょうか?
 ランディングの前に日なたに置いてあった乾いたネットを使おうものなら、体温の低いマスはネット型の火傷を負う羽目になってしまいます。これでは本末転倒です…
 ゴムネットを使用する際は必ず水に濡らしてなるべく水温に近い温度にしてからにしましょう。 あらかじめネットの部分だけ水に入れておくのもいいかもしれません。
 せっかくの素晴らしい道具ですので、正しく使って魚にやさしいアングラーであるよう心掛けてください。

安全に釣りをするために

 釣り場で一番困るのが「事故」です。
 フライフック、ルアーのフックが、本人や他人に刺さる事故が多発しています。重大事故にならないためにも、シングルフック、バーブレスフックの使用をおすすめします。
 なお事故防止のためサングラス(眼鏡)、帽子は必ず着用しましょう。せっかくの休日を、台無しにしないために!
 初めて一緒に釣りに行く友人にもこれはぜひ前もって用意するよう教えてあげてください。 一緒に釣り場に行くお子さん・ご家族にもご自分同様に用意してあげてください。
 また釣り場でお子さんが釣り人のすぐ近くを歩いていたりする光景を時々見かけます。釣り場まわりはいつルアーやフライが飛んできてもおかしくない状況です。危険ですので他の釣り人の迷惑にならないよう、しっかりと教えてあげてください。
 管理釣り場といえど、公共の場です。釣り場のルールを守り、気持ちよく釣りを楽しみましょう。

最後に

 「釣れた魚を水に戻したらリリースだ」と言う考え方はナンセンスです。可能な限りダメージを与えないようにしなければ、リリースして元気に泳いでいった様に見えても、しばらくすると死んでしまうことがほとんどです。
 フライ、ルアー共に疑似餌での釣りです。エサに見せかけて、魚をだまして釣り上げるゲーム性が、この釣りの面白いところです。放流直後のウブな魚と異なり、リリースを繰り返された魚は賢くなり、ゲーム性がアップします。正しいリリースをマスターして、次のステップに・・・・
文責:管理釣り場.com (協力:FactoryNATO、株式会社スミス)

まとめると、以下の3つを心がけてください。
◎リリースするのであれば、釣った魚を陸にあげない。なるべく水中でリリース。
◎リリースするのであれば、釣った魚になるべく触れない。触る場合は手を水で冷やしてからにする。
◎安全面を含め、刺さってもすぐ抜けるバーブレスフックを使う事を心がける。

TOP